「本みりん」と「みりん風調味料」の違いを徹底解説!

3年熟成純米本味醂 福みりん

普段利用されているみりんは、本物のみりんですか?
一口にみりんと言っても、原料の違いやアルコール度数の有無によって大きく4つの種類があり、それぞれ味わいも大きく異なります。
みりんの種類を変えるだけで普段のお料理の味わいもレベルアップできるのも嬉しいポイント。簡単にお料理の腕をあげることができますよ。

“本物の”みりんは奥が深い!
成り立ちと味わいに大きな違いがある

「みりん」とひと括りにいっても、大別すると「本みりん(酒類)」、「みりん風調味料(アルコール1%未満)」、「醗酵調味料(アルコール分はあるが塩などを添加して不可飲処置されたもの)」の3種類があります。

みりんの種類 原料 酒税 アルコール度数 特徴
本みりん
(伝統的な製法の本みりん)
もち米
米麹
本格米焼酎
対象 13.5~14.5% 独特のかぐわしい香りを持つ本格米焼酎(単式蒸留焼酎)に米麹、もち米を加えて仕込み、長時間じっくり熟成させて作られます。芳醇な旨味と風味豊かな味わいがあり、そのまま飲んでも美味しくいただけます。
本みりん
(標準的な製法の本みりん)
もち米
米麹
醸造アルコール
糖類
対象 13.5~14.5% アルコールは醸造アルコール(甲類焼酎)を使用し、短い熟成期間で一般的には糖類を添加し造られます。飲用には適しません。
発酵調味料 雑穀
醸造アルコール
糖類
対象外 10~14%
塩分1.5g/100ml以上
アルコール分を含みますが、塩を加えることでそのままでは飲めないよう不可飲処置をしています。不可飲処置をすると酒税がかからないメリットがある一方で、調理の際、塩分調整が必要になります。
みりん風調味料 糖類
(水あめ、ブドウ糖等)
酸味料
香料など化学調味料
対象外 1%未満 原料はみりんと異なり、アルコール分も含みません。調理の際に、アルコール分を飛ばすために煮きる必要はありませんが、みりん本来の効果を期待できない部分もあります。

酒税法で定義される「本みりん」が本来の「みりん」といえますが、この「本みりん」にも、仕込み熟成期間が長く原料のアルコールに本格米焼酎(単式蒸留焼酎)を使用する伝統的な製法と、仕込み熟成期間が比較的短く(40~60日)原料のアルコールにリーズナブルな醸造アルコール(連続式蒸留焼酎)を使用する標準的な製法とがあります。

少し複雑ですが、本物のみりんを見極めることがとても大切。本物のみりんは、素材・製法ともにこだわりをもって手間ひまかけて造られていますから、みりんそのものの味わいが非常に美味しく、豊かな香り、コクがあります。

本物のみりんは、そのまま飲んでも美味しい。
そのまま飲んで美味しいみりんを使えば、お料理が美味しくなるのも納得です。

「本みりん」と「みりん風調味料」の見分け方

普段ご自宅で使っているみりんは、「本みりん」でしょうか? 「みりん風調味料」でしょうか?
みりんが入ったボトルの裏ラベルを見ると、確認することができます。

裏ラベルの原材料名に、もち米、米麹、本格米焼酎、醸造アルコールと記載があれば「本みりん」です。
また、おもてラベルに「本みりん」と記載されています。

一方で、塩、雑穀、水あめやブドウ糖、香料などの化学調味料のいずれかが入っているものは「本みりん」ではありません。

みりんの役割や効果とは?

本みりんには照りや上品な甘みをつけるだけではなく、臭みを取り除いたり煮崩れ防止といった役割も果たします。

甘み


砂糖の甘みと本みりんの甘みは異なります。砂糖の甘みはショ糖によるもの。一方で本みりんの甘みはブドウ糖やオリゴ糖といった多糖類とよばれる糖分で構成しており、深みとやわらかみのある上品な甘さが特徴です。

臭みを取り除く


本みりんにはアルコールが含まれています。アルコールは肉や魚などの生臭さを取り除く効果があります。また、本みりんは加熱されると本みりんのもつ香りが高まり、臭いをマスキングします。

コクと旨み

本みりんに含まれるアルコールが素早く食材にしみ込みます。また、原料であるもち米に含まれるアミノ酸、有機酸、糖類などの味が食材に行き渡り、深いコクと旨みが生まれます。

煮崩れ防止


煮崩れの原因は細胞壁に含まれるペクチン。ペクチンは細胞と細胞をつなぎとめる役割をしています。
アルコールは、このペクチンを溶けにくくすることで煮崩れを防ぎます。見た目に美しいだけではなく、うま味成分を外に逃がしません。

照りと艶


本みりんに含まれる糖が素材の表面に皮膜をつくり、美味しそうなテリとツヤをつけます。

「本みりん」にはアルコールを含み、「みりん風調味料」にはアルコールを含みませんので、普段使っているみりんを「本みりん」に変えてみると臭み取りや味のしみ込み方、煮崩れの違いを実感できると思います。

使い切ってしまった時の本みりんの代用は!? 

煮物や煮魚が続いた時や、本みりんで梅酒を仕込んだ時。
はたまた、そのまま飲んで美味しくて想定外の消費をしてしまった時。
いつもストックしておくと安心ですが、「本みりんを切らしてしまった」そんな時に代用として使用できるものを紹介します。

日本酒とはちみつで代用

みりん大さじ1杯の代用
・ 日本酒 ... 大さじ1杯
・ はちみつ ... 小さじ1/2杯

日本酒と砂糖で代用

みりん大さじ1杯の代用
・ 日本酒 ... 大さじ1杯
・ 砂糖 ... 小さじ1杯

日本酒が無い場合は、純米料理酒でも代用可能です。
日本酒も純米料理酒も切らしている場合は、甘さ控えめの白ワインでも代用できます。

一般的な料理酒を使う場合には、料理酒自体に塩分が含まれているので注意が必要です。

食後の血糖値上昇の観点から考えても、二糖類であるお砂糖より多糖類であるみりんの方が糖の吸収速度が遅いため血糖値上昇をゆるやかにするメリットも。
なのでずっと日本酒と砂糖で代用するよりも、基本的に本みりんを使用した方が健康も美容にもオススメです。

老舗酒蔵の威信をかけて仕込んだのが、本物のみりん「福みりん」

金沢で最も長い歴史をもつ福光屋が、酒造りを行う同じ酒蔵で、杜氏と蔵人が丹念に仕込本みりんです。
1万石以上の生産高をもつ蔵としては日本で初めて純米蔵となった酒蔵として、醸造するみりんも本物であることに強くこだわっています。石川県産のもち米を100%使用し、米麹には福光屋が契約栽培する兵庫県産の酒米・フクノハナ100%を用いていますが、清酒用の米麹をそのまま流用するのではなく、みりんのためだけに新たに製麹を行い、自家製の本格米焼酎で仕込んでいます。杜氏、蔵人たちが一年に一度の仕込みにあらゆる工夫と改良を重ねてきた商品でもあります。

製造、製法にこだわった本物のみりん 「三年熟成 純米本味醂 福みりん」

そのように造られたみりんを、さらに蔵内で3年間じっくりと熟成させています。
褐色を帯びた色味、芳醇な香りとコク、旨味がいっそう凝縮されています。濃厚な味わいだからこそ、そのままロックにしても美味しく、米焼酎と割って楽しむ和製カクテル「柳陰」にもおすすめです。

和風カクテル 柳陰(やなぎかげ)とは

江戸時代に夏の高級酒として親しまれた、本味醂と米焼酎を1対1で割った冷酒。みりんに含まれる栄養価の高さや甘味が、夏の栄養補給源にもなったと伝わります。上方では柳陰、江戸では本直しとも呼ばれ、庶民のささやかな贅沢でもあったようです。

2018年調味料選手権「みりん部門」最優秀賞受賞を受賞!

2018年11月3日の「調味料の日」に開催された、調味料選手権の「みりん部門」において、この「三年熟成福みりん」が最優秀賞商品に選ばれました。
このコンペティションは、調味料ソムリエが生活者とスペシャリストの両視点から調味料を評価。書類エントリー、一次審査の後、食味審査の二次審査、最終審査を細かく行って商品コンセプトや味わいなどを評価し、総合点数で評価されるものです。
審査員からは、「日本食の基本であるみりん、このみりんならば料理のグレードが上がります」、「醸造アルコールを使っていない純米造りで、自然の甘さがいい」、「まろやか、コク、色の美しさが最高」、「みりんってこんなに美味しいんだ、と思った」など、さまざまな高評価をいただいています。また、和食だけに限らず、洋風のソースに合う、スイーツにもいかせる、豆乳ドリンクにも合う、カクテルにもいい、などの活用度の高さも評価のポイントでした。

【おまけ】みりんの歴史


戦国時代の文献に「蜜淋酎」(みりんちゅう)として登場したのが最初で、甘い珍酒として上流階層でもてはやされていたことがうかがえます。

一般階層に普及したのは江戸時代で、「下戸にはみりんを」と記した文献もあり、お酒の飲めない人や女性のもてなしに飲用されていたようです。
元禄年間の文献には料理に「味淋酎」を使用したとあり、これ以降、料理に使用したという記述が増えていきます。

「煮切る」という操作も江戸、文政年間に生まれました。
当時のレシピとしてはウナギの蒲焼のタレ、そばつゆ等、飲食店での使用が主でした。当時のみりんは甘味や旨味が相当に濃いものであったと思われます。

一般的に調味料として使われるようになったのは明治以降のことで、現在のような調味料の位置づけになったのは、技術開発が進み、大量に生産できるようになった戦後のこととなります。

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