「醗酵が紡ぐ食シリーズ」として、新たなアプローチで醗酵の魅力を生かす県内のお店をご紹介していきます。第1回目は、金沢随一の観光スポット「ひがし茶屋街」にある「Cafe たもん」さんです。
こちらの名物は石川県産小麦粉100%のパンケーキ。ふわふわでほんのり甘い生地と地元特産の素材をふんだんに使ったトッピングで、一度食べたらやみつきに。ティータイムはもちろん、金沢らしい朝食を食べたいというモーニング派にも喜ばれています。
“お米でつながる”パンケーキが誕生
そんな同店に唯一なかったランチメニュー。今年満を持して登場したのが「能登豚ローストポークランチ」です。パンケーキには珍しい、醗酵食品を取り入れた新しいスタイルのメニューとのことで、完成にいたるまでのお話を料理長の由水克明さんにお聞きしました。
「元々、甘くないメニューとして『能登豚ベーコンの米粉エッグベネディクトパンケーキ』があったのですが、それをさらにバージョンアップしました。ほのかな甘みと脂身がしつこくなく美味しい能登豚をローストし、自家製ソースで絡めてあります。自家製ソースには福光屋さんの福みりんと、金沢・大野のヤマト醤油味噌さんの醤油を使っています。ポークの脂とソースがスポンジのような生地に沁みて、日本人好みのほんのり甘辛い風味のパンケーキになっています」と由水さん。
県産コシヒカリをエサに育った能登豚にはほのかな甘みがあり、何度となくソースの試作を重ねたものの、スパイスや砂糖を使うと素材の味が引き立たなかったとか。やさしい甘さの福みりんと甘口の大野醤油を加えてみたところ、ちょうどよいバランスのソースが完成したのだそうです。
由水さんいわく、「できあがってみたら、米粉のパンケーキ、お米で育った豚、お米を発酵させたみりんや醤油が融合した“お米つながりのパンケーキ”になっていて驚きました。地元の素材でこんな面白いことができるんだなと。このメニューはミドル・シニア層や普段パンケーキをあまり食べない男性にも好評で、地元の発酵食品を知っていただくきっかけにもなっています」
SDGsの思いが詰まったパンケーキ、次に目指すのは罪悪感フリー
オーナーのMEGUMIさんが環境や健康に関心が高いことから、同店ではSDGsの観点からさまざまな取り組みも行っています。パンケーキには、有機肥料などを使った循環型環境農法でつくられた県産コシヒカリを使用。通常なら廃棄される規格外サイズのお米も取り入れ、自家製粉しています。甘いメニューには、五郎島金時や加賀棒茶、ハチミツなどさまざまな特産品を使っており、加賀百万石の伝統をアレンジした盛り付けも評判です。
「まだまだパンケーキにはクリームたっぷりで体に悪そう、太りそうなどといったギルティーなイメージがありますが、合わせる素材によってヘルシーなメニューにすることも可能だと思います。今後は健康志向の方々にも満足していただけるように、発酵食品の甘酒を使ったパンケーキの提供も考えています。以前、牛乳の代わりに甘酒を使ってみたら、よりやさしい甘みになり、美味しい食パンのようなパンケーキができたんです。砂糖や人工甘味料の甘さが苦手な方にはきっと喜ばれるはず。ぜひ近いうちに実現したいですね」と由水さん。罪悪感フリーで食べられるパンケーキの登場に、ますます期待が高まります。
今回のコラボアイテム
純米本味醂 福みりん 720mL
石川県産のもち米のみを原料にした蒸米と、契約栽培の酒造好適米「フクノハナ」のみを原料にした米麹を使用した「本みりん」です。糖類を一切添加しない自然の甘味とふくよかな香り、まろやかなコクが特長です。
酒蔵仕込み 純米 シルキー糀甘酒 1000mL
石川県産契約栽培米を100%使用し、麹のチカラで糖化醗酵させた醗酵滋養飲料。甘さはすっきりひかえめ、なめらかな口あたりが特長です。
Shop Info
カフェたもん
TEL/076-255-0370
営業時間/9:00~17:00 (L.O.16:30)
定休日/無休
Instagram @cafetamon