日本酒をロックで飲んでみたいと思ったことはありませんか? 冷酒や熱燗、常温で飲むのが一般的で、「日本酒ロックは邪道」というイメージがあるかもしれませんが、最近では「より飲みやすくなる」と大きく注目されています。ロックで飲むとおいしい理由やおすすめの銘柄を知って、日本酒ロックにトライしてみませんか。
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日本酒をロックで飲んでいいんです
冷酒、常温、熱燗とさまざまな温度帯で楽しめる日本酒。一般的にはストレートで楽しむもので、氷で薄めるロックはあまりなじみがありませんでした。日本酒をロックで飲みたくても、「飲み方を知らないと思われないか」「完成度の高い味を薄めるなんて酒蔵に申し訳ない」などと躊躇する人も多かったかもしれません。
でも、そんなことはありません。実は味わいの変化を楽しむ飲み方として、昔から親しまれている方法です。近年はロック専用の日本酒も人気を集めるなど、注目の飲み方に急浮上しています。より詳しく知れば、きっと試してみたくなりますよ。
邪道じゃない!昔からあった日本酒ロック
日本酒のロックでの飲み方には古い歴史があり、既に奈良時代には貴族たちが楽しんでいたといいます。「日本書紀」には「氷室(ひむろ)の氷、熱き月に当たりて、水酒に浸して用(つか)ふ」とあり、暑い季節に天然の氷を酒に入れて使っていた様子が目に浮かんできます。
ただ、昔の氷は冬の間に保存したもののみの貴重品でした。日本酒ロックは裕福な人たちだけが楽しめた贅沢な飲み方だったのです。氷が簡単に手に入るようになった今、日本酒ロックを存分に満喫しましょう。
日本酒ロックでより飲みやすく
ロック(オンザロック)は、氷が溶ける具合に従って味わいの変化をゆっくり楽しむ飲み方。日本酒の場合、氷で冷えて適度な温度になり、味わいはキリッとして、のどごしも爽やかになります。
日本酒ロックは夏におすすめ
ゆっくりと溶ける氷で適度に薄まり、心地よい酔いが楽しめるのも魅力。
夏場の汗をかく時期には、アルコール度数の高い日本酒を飲むと、身体の負担にもつながります。氷が少しずつ溶けるにしたがってアルコール度数が下がるので、穏やかに酔いが楽しめて体にやさしい飲み方といえます。アルコール感度が高い方やマイルドな味わいを好む女性にもおすすめです。
ロックに向く日本酒とは?
どんな日本酒でもロックでおいしく飲めるかというと、そうではありません。いわゆる“淡麗・辛口”タイプのお酒は、氷で薄まることで元の味わいが失われてしまうことも。数多くの日本酒の中から、ロックに向く3タイプ「生酒」「原酒」「にごり酒」をチェックしましょう。
生酒(なまざけ)
フレッシュな味わい溌溂とした香りが特長。旨味やコクがしっかりしており、ロックにすると本来の持ち味に食感のやわらかさが加わります。
加熱殺菌のための火入れ作業をしていないため、開栓したら早く飲み切ってしまうのがおすすめ。まず冷酒で、次にロックで瑞々しい魅力を味わいましょう。
原酒(げんしゅ)
アルコール度数調整のための加水を一切していないお酒。ほかの日本酒に比べて、アルコール度数が高く、濃厚な味わいがあります。
日本酒初心者や女性には風味を強く感じる場合がありますが、ロックにすると、氷がゆっくりと溶けてアルコール度数を和らげるため、味わいがソフトで爽やかになります。
にごり酒
白くにごったお酒。粗めのフィルターでろ過し、もろみ成分を多く残しているため、甘みとどっしりとした濃い味わいが特徴。開栓したばかりのお酒は微炭酸で、特有のシュワシュワとした発泡感があります。
そのまま飲むとトロリとしていて濃厚ですが、ロックで飲むと、発泡と氷の涼感で爽やかな飲み口になり、サイダーのような味わいに。夏にぜひロックで飲みたいお酒です。
日本酒ロックをおいしく作るポイント
ロックに合うお酒を見つけたら、さっそく飲んでみたいもの。作る際のちょっとしたコツで、よりおいしい日本酒ロックができあがりますよ。
氷
日本酒に入れる氷で、おすすめなのは大きめで空気を含まない氷。市販のロック用氷がファーストチョイスです。サイズが大きく純度が高いので、ゆっくり溶けて味の変化が楽しめます。小さめの氷は溶けるのが早く、すぐに薄まってしまうので本来のロックの良さが味わえません。
好みで氷を2~3個入れて日本酒を注ぎ、マドラーでまぜると冷たさが全体に生き渡ります。あらかじめ日本酒を冷やしておくと早く溶けるのをおさえられます。
最初からロックで飲まず、飲み進めるうちに少し重く感じたり、酔いを感じ始めたタイミングで氷を入れるのもOK。日本酒本来の味わいをより深く楽しめます。
霊峰白山から巡り着く百年水 福光屋の「酒蔵の水」
ロックに慣れてきたら、氷を作る水にもこだわりたいもの。飲んでいる銘柄の酒蔵の仕込み水で氷を作ると、絶妙なマッチングでよりピュアな味わいを感じられます。
酒器
飲み方に応じて適した酒器があります。日本酒ロックでは、氷の溶け具合に応じて、ゆっくりと変化する香りと味わいを楽しめる、飲み口が大きく背の低いグラスがおすすめ。夏場にグィっと飲みたいなら、発泡感のあるにごり酒を背の高いグラスにたっぷり入れて飲んでも美味しいです。
ガラス製の酒器は氷との相性がよく、涼し気な見た目が夏にぴったり。氷が動く音が心地よく響き、爽やかな飲み心地が満喫できます。
アレンジ
日本酒は一般的に酸味がやや不足しており、それを補う酸味のある柑橘類と相性抜群。暑い時期や油分の多いおつまみの際、日本酒ロックにレモンやライムを浮かせると、口の中をさっぱりとさせてくれます。
日本酒をベースにしたカクテル「サムライロック」もおすすめです。作り方は、グラスに氷を入れ、ライムジュースと日本酒を1:5の割合で入れればOK。ビールやチューハイに負けない、爽やかなカクテルが完成します。
ネットショップですぐ買える“ロックで美味しい日本酒”
ロックで味わう場合、お酒の向き不向きがあります。日本酒に詳しくなくても、すぐに楽しめる、おすすめ3銘柄をご紹介します。
コクとキレを併せ持つ堂々たる味わい「黒帯 堂々 山廃純米」
山廃仕込みならではのキレのよさと、米の旨味が生きた、まさに堂々とした味わいのお酒。しっかりとした味わいなので、冷やしてもお燗でも美味しくいただけます。
ロックにすると、冷酒よりさらにのど越しがよくなり、口当たりのなめらかさがいっそう心地よく感じられます。本来の旨味を楽しみながら、さっぱり、するりと飲みたいときに。
フレッシュ&お米の旨味を味わう、夏季限定酒「加賀鳶 夏純米・生」
一切の火入れをせず力強くしぼった純米酒を、風味そのままに封じ込めたお酒。力強い骨太さがありながら、フレッシュで軽やかな味わいです。清涼感あふれるキレの良い辛口で、お米の旨味が存分に生きています。爽やかなスパイスがきいた料理に良く合い、夏の食卓に最適です。
ロックにしても非常に美味しく、さらに口当たりよく飲みやすくなります。
氷負けしない吟醸香とキレ「加賀鳶 純米大吟醸 極上原酒」
契約栽培した酒米の最高峰「山田錦」のみを使用し、伝統の技で丹念に仕込んだ純米大吟醸の原酒。華やかな吟醸香と軽快で爽やかな旨味とキレが特長です。
ロックにしても氷負けせず、吟醸香を感じさせながら、よりすっきりと辛口のキレを楽しめます。夏野菜の揚げびたしや、甘味のある白身のお魚などにぴったりです。
番外編/こだわりの氷で一層美味しく!「酒蔵の水」
霊峰白山から100年をかけて酒蔵に辿り着いたミネラル豊富な天然水。創業1625年の福光屋の日本酒は、すべてこの仕込み水から生み出されます。ロックの氷用として使えば、溶けるほどにお酒となじみ、理想的なマッチングが味わえます。